備品の棚卸しを効率的に!その方法とポイントを解説
アストロラボ株式会社

保有する備品の数や状態を確認するために行われる「棚卸し」。重要な作業だとはなんとなくわかってはいるけれど、正確な棚卸しを行うためには、時間や人手、手間が必要になるため、正直、「ちょっと面倒……」と感じている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、棚卸しとは何か、備品管理を行う上でなぜ棚卸しが必要なのかといった基礎知識からそのやり方、棚卸しをより効率的に行うための方法などについて解説します。
棚卸しとは?
備品管理における「棚卸し」とは、実際に保有する備品の数や状態を一つひとつ調べ、帳簿や台帳の記録とのズレがないか、故障して使用できない状態のものはないかを確認していく作業のことをいいます。
棚卸しは一般的に、年に一度もしくは四半期ごとに一度のペースで実施することが多く、この作業を定期的に行うことで、備品の在庫評価を正確に把握することができるだけでなく、以下のようなメリットがあるといわれています。
1. 備品の数を正しく把握して「無駄」を防止する
棚卸しは、先ほども述べた通り、実際に保有している備品の数や状態を調べ、管理データや台帳との相違がないかを確認していく作業です。そのため、棚卸しを行うことで備品の在庫数を正確に把握し、管理ミスや過不足がないかを洗い出すこともできます。
備品の数や状態を正しく把握し、それを全社で共有しておけば「遊休品があることに気づかず新しく購入してしまった」「行方不明になっている備品が多く、仕方なく追加で購入した」といった無駄な出費を抑えることもできます。また、どの備品を誰が使い、貸し出しているのかといった使用状況がすぐに確認できるようになれば、社員一人ひとりの管理意識もおのずと高まっていくはずです。
2. 備品の故障などによるトラブルを防ぐ
定期的に棚卸しを行い、備品の状態を確認する機会を持つことで、劣化や故障を早期に発見し、適切な段階で適切な対応をしておくことができますので、使用中に予想外の故障で業務に影響が出る……といったリスクの軽減にもつながります。
特にパソコンやスマートフォンなどのIT機器は、本体だけでなく、バッテリーやケーブルといった付属品の数や状態も確認し、記録されますので、「使おうと思ったらケーブルが劣化していて使えない」「充電器が足りない」などと、慌てる心配もなくなります。
3. 資産価値を正しく把握することができる
企業が所有する備品は資産として評価されることが多いため、定期的な棚卸しは「=資産価値の把握」にもつながります。定期的に棚卸しを行い、実際の備品の数と備品管理台帳に記載されている数を照合し、備品の現状を正確に把握することによって、適切な会計処理も可能となるのです。
棚卸しによって備品の価値を正確に評価することができれば、資産の透明性も高まります。その結果、より信頼性の高い財務情報を提供できるようになるはずです。
具体的な棚卸しの手法とそのメリット・デメリット
棚卸しには大きく分けて「実地棚卸」と「帳簿棚卸」の2つの方法があります。ここではそれぞれの手法と、そのメリット・デメリットについて解説します。企業や組織の規模、業種によってどちらの手法がより適しているのかも異なってきますので、自社の状況に合わせて選択するとよいでしょう。
実地棚卸とは?
実際に現場で備品や物品を確認し、その数量や状態を記録する方法のこと。「現物確認」「実物実査」ともよばれ、備品管理台帳の内容と照らし合わせながら、備品の数や故障や破損がないかといった状態を確認していく作業です。
正確な備品管理が可能だが、作業に時間と労力がかかる
備品の数だけでなく、その「状態」も実際に目で見てチェックするので、正確な備品の在庫状況が確認できるだけでなく、備品の破損や故障なども早期に発見でき、適切なメンテナンスを適切なタイミングで手配できるのが最大のメリットといえます。
反面、一つひとつ手作業で備品を確認することになりますので、備品数が多い場合などは時間と労力が必要となります。また、作業を遂行するために、多くの人員と時間を確保しなくてはならない点もデメリットといえます。
実地棚卸の進め方
実地棚卸を行う際は、基本的に以下のような手順で進めることになります。実際に備品を一つずつ確認していく作業になるため、できる限り短時間に、効率的に実施するためには、棚卸しの「責任者」を決め、その責任者が中心となってスケジュールや担当の割り振りを決めておくなど、しっかりと事前準備をしておくことが重要となります。
1. 備品リストの作成
実際に棚卸しの対象となる備品のリストを作成します。リストに記載された備品がオフィス内のどこにあるのかなど、見取り図も一緒に作成しておくと便利です。
2. 棚卸しの担当者を決めていく
備品の種類ごとに棚卸しの担当者を決めておきましょう。不正を防ぎ、正確な棚卸しを実施するためにもカウント係、記録・チェック係の2名1組で行うのが基本です。
3. 棚卸しマニュアルとスケジュールを作成し、メンバーに周知する
作業手順や、備品点数の数え方などをまとめたマニュアルと当日の作業の流れがわかるスケジュールを作成し、当日作業を行うメンバーに配布し、周知しておきましょう。
4. 作業開始
所有する備品の数や状態、使用者の情報などを担当者が一つひとつ確認し、管理台帳と相違がないかをチェックしていきます。在庫数だけでなく備品の劣化や破損がないか、付属品の不足はないかもきちんと確認しておくことが重要です。
備品にバーコードやシリアルナンバーを取り付け、その番号を記録しておくと、その後の管理も楽になります。
5. 棚卸し結果をまとめた報告書を作成する
棚卸し作業の結果をもとに「棚卸報告書」を作成します。報告書には備品の種類とその在庫数、状態、評価額などを記載します。この記録は、通常、経営陣や管理部門によってその内容が精査され、備品管理の状態や課題の洗い出しや改善策を立てるための資料として活用されます。
帳簿棚卸とは?
帳簿棚卸とは、備品の在庫や状態を管理台帳や専用のソフトウェア等で日常的に記録しておくようにしたうえで、その台帳やソフトウェアの記録と、実際の備品の数や状態を比較して不一致を確認していく方法です。
棚卸しの作業時間は短縮できるが、やや正確性に欠ける
台帳などに記録された情報を整理し、在庫数や状態を確認する作業であり、「実際の備品を目で見て確認する」といった手間がかからないため、作業時間の短縮や業務効率の向上を図ることができます。また、日々の記録を正確に記録する習慣をつけておくことで、在庫や状態などの情報をほぼリアルタイムに把握することも可能になります。
一方で、帳簿棚卸はあくまでも記録上の数値や状態を集計する作業であり、実際の在庫数や状態と差異が生じることも。そのため、最終的には実地棚卸を併用して備品の在庫数や状態の「現状」を把握し、台帳と照らし合わせることが必要となります。
帳簿棚卸の進め方
帳簿棚卸は、基本的に以下の流れで行いますが、その正確性を高めるためには、備品の貸出や返却、在庫数などの動きを「日常的に管理し、記録しておく」ことが欠かせません。特に、台帳やソフトウェアを複数の担当者で管理している場合などは、記録が抜ける、記録にタイムラグが生じるといったことがないようにしておきましょう。
1. 備品の帳簿を整理する
日々、備品の動きを記録・管理している台帳やソフトウェアなどを確認し、備品の種類別に在庫数や状態、使用者の情報などをまとめます。その際、台帳の記録抜けがないか、台帳の情報は最新のものであるかも確認しておきましょう。
2. 台帳等の記録と現状を照合する
時々は帳簿棚卸の結果をもとに、実際の在庫数や状態を目で見て確認する実地棚卸の併用を。台帳等の記録と現状に誤差が生じている場合は、修正を行うとともに、記録漏れや誤記入がなかったかどうか、その原因を特定し、管理体制の見直しを行うことも重要です。
3. 棚卸し結果をまとめた報告書を作成する
結果をまとめ「棚卸報告書」を作成します。帳簿棚卸と実地棚卸を併用し、差異をチェックすることで不正やロスなどが見つけやすくなり、備品管理の精度もより高まります。
陥りがちな「棚卸しの課題」とは
このように保有する在庫(≒資産)の量や内容を正しく把握するために行われる棚卸しですが、いざ、実際に作業に取り掛かかってみると、事前にしっかりと準備していたつもりでもさまざまなトラブルやエラーが発生することが少なくありません。
多くの企業が抱える「棚卸しの課題」として、以下のような内容があげられます。
ヒューマンエラーによるミスが発生しやすい
実際に人の目で見て、数量や状況を確認する「実地棚卸」は、単純作業であるがゆえに数え間違いや記録ミスなどのヒューマンエラーが起きがち。台帳に記載されている記録と実際の数が合わずに何度も数え直しをすることになるなど、作業時間をより長くする要因にもなっています。また、棚卸しを担当する人によって、その精度や作業スピードに大きな差が生じるといった、「人の目や手で行う」からこその課題があげられます。
時間と労力が必要となる
ひとことで「備品」といっても、机やイスといったオフィス家具から事務用品まで多岐に渡ります。企業の規模や従業員数によっては数が膨大となり、棚卸しにも多くの時間と労力を要することになります。手作業での確認や記録は担当者にとって大きな負担となるため、カウントミスを誘発するといった悪循環に陥ることも……。また、スタッフ総出で棚卸しとなれば、その間は業務がストップすることにもなりますので、生産性の低下を招く恐れもあります。
人件費や業者を利用するためのコストがかかる
棚卸しの作業を自社内で行う場合でも、担当するスタッフの人件費や時間的なコストがかかるうえ、それによって業務がストップすることになれば生産性も低下しますので、コスト負担は決して小さくありません。それを避けるために外部業者に委託する、専用のシステムや機器を導入するとなれば、さらにコストがかさむことになります。
効率的でスムーズな棚卸しのためにやるべき6つのこと
では、こうした課題を解消し、少しでも効率的でスムーズな棚卸しを実施するためには、どのような対策を講じればいいのでしょうか。ここでは、そのために取り入れたい6つの施策をご紹介します。
担当者の負担軽減、コスト削減のためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1. マニュアルを作成し、作業手順を「標準化」する
人の目と手によって備品を確認する棚卸し作業は、担当者によって精度やスピードに差が出るなど属人化してしまいがち。そこで作業の開始から終了までの流れをマニュアル化し、「誰が担当しても同じ作業」となるように標準化させましょう。それによって手順も周知しやすくなり、無駄なミスを減らすことにもつながります。
2. 確認済みの備品には目印を取り付ける
作業中、確認が済んだ備品にはシール等で目印をつけるようにしましょう。それによって起こりがちな二重チェックを防ぐことができ、進捗状況もひとめでわかるようになります。また、チェック欄付きの管理ラベルを活用して、確認が終了したものには日付と担当者の名前を記入するようにルール化すれば、履歴管理もしやすくなり便利です。
3. 棚卸しリストに備品の画像を添付する
確認作業をスムーズにするためには、対象となる備品を素早く特定できるようにしておくことも重要なポイント。そのためにも使用する「棚卸しリスト」にはアイテム名や型番などの文字情報だけでなく、画像も添付して対象の備品が発見・確認しやすくなるようにしておきましょう。特にPCやスマートフォンといった類似の品目や備品が多いアイテムには、非常に効果的です。
4. 作業手順や問題点を洗い出し、PDCAサイクルを適用する
これまでの棚卸しでの問題点や課題を分析し、どこに問題を生み出す要因があるかを分析し、今後の改善策を見つけてみましょう。その際、作業をステップごとに分類するようにすると、問題となる箇所も見つけやすくなり、次の改善策を講じやすくなります。このようにP(計画)、D(実行)、C(評価)、A(対策・改善)の4つのプロセスを繰り返すことで、作業効率も向上していくはずです。
5. 専用の「棚卸しアプリ」を活用する
データ入力の自動化や、リアルタイムでの管理を可能にした棚卸し専用のアプリを導入するのもひとつの手段です。ゼロからシステムを開発するよりも低コストで導入できるうえ、操作もシンプルでIT知識に自信がない人でも操作しやすいサービスも多数提供されています。特にクラウドとの連携が可能な棚卸しアプリは、複数拠点での備品管理にも適しているのでオススメです。
6. 備品管理システムを導入する
所有する備品の数や状況、誰が使用し、いつまで貸出しているのかといった情報が一元管理できる「備品管理システム」には、棚卸管理機能が標準提供されているため、導入することで棚卸し作業の効率化・ヒューマンエラーの防止につながります。また、バーコードやQRコード、RFID(ICタグ)を利用した棚卸機能が提供されているものもあり、種類も量も膨大になりがちな備品の棚卸し作業を大幅に改善してくれます。
『備品管理クラウド』で迅速で正確な棚卸しを!
アストロラボ株式会社が提供する『備品管理クラウド』は、「棚卸はみんなで」をテーマとし、スタッフ各自が使用する備品を自身で確認・更新することで、迅速で正確な棚卸しを可能に。会社の総務担当など「担当者だけ」に負担がかかることなく、チーム全体が協力して効率的に棚卸しを行う機能など、これまで棚卸しにかかっていた時間と手間を大幅に軽減することができる機能が多数搭載されています。
・棚卸しリスト作成の手間も軽減!
これまで紙やExcelの管理台帳から棚卸し対象の物品を抽出してリストを作成する…といった手間も、『備品管理クラウド』ならWeb上の管理画面から簡単に作成でき、作業時間を大きく短縮することができます。また「パソコンだけ」「オフィス家具だけ」など、アイテムを絞ってリスト化することができるほか、各備品の棚卸しの実施担当者や責任者(管理者)の設定もできるようになっています。
・「棚卸し実施者=備品の使用者」だから棚卸し時間の大幅短縮が可能に!
これまで、棚卸しというと「総務担当が手分けをして行う」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。でもそれでは時間も労力もかかるうえ、その間、総務本来の業務が滞ってしまう恐れもあります。その点、『備品管理クラウド』を活用すれば、棚卸しの担当者はアプリを通じて実施者(備品の使用者)に「棚卸し依頼」のメールを送るだけでOK。時間も労力も大幅に短縮できます。
・「棚卸し期限」を設定すれば、通知も自動配信!
アプリを通じて棚卸しを実施した後、全員が実施してくれたかどうかを確認し、遅れている人に実施を促す…という作業もなかなか面倒なものですが、その点も『備品管理クラウド』なら安心。棚卸しの依頼をする際に、その実施期限を設定しておけば、期限が近づいてもまだ実行していない人に対して自動で通知メールを送付。また、進捗状況もアプリ上で随時確認できるので、実施漏れもしっかりと防ぐことができます。
・「棚卸報告書」を作成する時間と手間も大幅に削減!
棚卸し実施後は、アプリ内の「ダッシュボード」から、その結果を確認することができるため、改めて結果をまとめ、報告書を作成する必要なし! 各備品の所在や状態、遊休品の保管場所などもしっかりと把握できるので、その後の備品管理業務の手間も大幅に軽減することができます。
いかがでしょうか。
今回は、棚卸し業務の課題と効率化のポイント、そして『備品管理クラウド』の活用によるメリットについてご紹介しました。
「備品数が多く、毎回、棚卸しに膨大な時間と手間がかかっている」
「いつも備品管理台帳と実際の備品の数が合わず、棚卸しの精度に不安がある」
そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ『備品管理クラウド』の活用をご検討ください。棚卸しの効率化をサポートするさまざまな機能で担当者の負担を軽減するのはもちろん、その後の備品管理の効率性・正確性向上にも大いに役立つはずです。
ぜひ少しでも「気になる!」なら、お気軽にお問い合わせください。
少しでも気になる方は下記よりお気軽にお問い合わせください。