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備品管理コラム

「今年も棚卸の季節がやってきたけど、またあの大変な作業をやるのか……」
そんなため息が、毎年、総務や経理の現場で聞こえてくる時期があります。

企業が所有するパソコン、プリンター、机、備品などの「固定資産」。これらが帳簿どおりに存在しているかを確認するのが「固定資産の棚卸」ですが、実際にはとても手間のかかる作業です。紙のリストをもとに一つ一つ資産を探し、記録し、Excelに入力……。この作業に何日もかかっているという企業も少なくありません。

しかし、近年ではスマートフォンやタブレットを使った「アプリでの棚卸」が注目されています。現場でラベルを読み取り、状態を記録するだけで、自動でデータが集計される。そんな便利な仕組みが、総務の業務を大きく変えようとしています。

この記事では、固定資産棚卸の基礎から、よくある失敗事例、アプリ導入のステップなどを、わかりやすく、丁寧に解説します。
これまで「面倒」「非効率」と感じていた棚卸業務が、今日から変わるかもしれません。

固定資産の棚卸とは

企業が所有する資産の中で、長期間にわたって使うものを「固定資産」といいます。たとえばパソコン、プリンター、デスク、車両、機械などが該当します。

固定資産の棚卸とは、帳簿に記録されている資産と、実際に現場にある資産が一致しているかを確認する作業です。

具体的には、資産に貼られたラベルや番号をもとに「どこにあるのか」「今も使われているのか」「壊れていないか」などを1件ずつチェックします。

この作業は、会計上の正確性を保つためにも、資産の無駄遣いや不正使用を防ぐためにも、非常に重要です。

固定資産管理の重要性

固定資産とは、企業が長期間にわたって使用する備品や設備、車両、建物などを指します。これらの資産は、企業の経営活動を支える土台であり、財務面でも大きな比重を占めています。

では、なぜ固定資産の管理や棚卸がそれほど重要なのでしょうか?
以下の4つのポイントから、その理由を詳しく見ていきましょう。

(1)不要なコストの削減

【背景】
企業では、使用頻度の低い備品や故障したまま放置された機器など、「実際には使われていない資産」が多数眠っていることがあります。こうした資産も、持っているだけで保守契約費用・倉庫の保管料・管理の手間など、目に見えないコストがかかっているのです。

【具体例】
・数年前に導入した古いプロジェクターが倉庫に置かれたまま → 毎年保守契約だけ継続
・一度も使われなかった工具一式が、発注部署も用途も不明のまま放置

【管理の重要性】
棚卸によって「不要な資産」を洗い出し、売却・廃棄・社内再利用などの判断を行うことで、ムダなコストを可視化・削減できます。また、空いた保管スペースを有効活用することにもつながります。

(2)重複購入の防止

【背景】
資産がどこにあるのか、誰が使っているのかがわからない状態だと、現場担当者が「備品が足りない」と誤認し、同じ機材や備品を二重に購入するという事態が発生します。

【具体例】
・A支店のノートPCが所在不明になり、確認が面倒なので新たに1台購入
・部署異動後に「前任者が使っていた機材の情報が不明」となり、同じものを再発注

【管理の重要性】
資産情報を正確に把握していれば、「この部署には今●台ある」「未使用状態で保管中」といった状況がすぐに確認できるため、購入判断の根拠が明確になります
結果的に、資産を効率よく使い回し、調達費用を抑えることが可能です。

(3)減価償却の正確性

【背景】
固定資産は会計上「減価償却」という処理を行います。たとえば、100万円で購入した機器を5年間使う場合、毎年20万円ずつ経費として計上する仕組みです。
しかし、実際にはすでに廃棄されている資産が帳簿上に残っているケースも少なくありません。

【具体例】
・2年前に壊れて廃棄した設備が、未処理のまま減価償却され続けていた
・拠点閉鎖に伴い処分された什器が、資産台帳にそのまま残っていた

【管理の重要性】
こうしたズレを放置すると、本来不要な減価償却費を計上し続けることになり、税務処理に不整合が生じる可能性もあります。
定期的な棚卸で、現物と帳簿を突き合わせて一致させておくことが、正確な決算処理・会計報告・税務リスクの回避に直結します。

(4)災害・盗難への備え

【背景】
火災・地震・水害といった自然災害や、盗難・不正持ち出しなどのリスクに備えるうえでも、資産管理は不可欠です。いざというとき、何があったのか、何が失われたのかを正確に把握できるかどうかで、企業の初動対応力が問われます。

【具体例】
・倉庫の水害で複数の機材が水没。資産番号の控えがなく、補償対象が不明
・ノートPCが盗難被害に遭うも、「何台盗まれたか」が正確に言えず警察への報告も困難

【管理の重要性】
事前に台帳と現物をきちんと一致させておけば、災害時や事故発生時に迅速な損失算定・保険請求・内部報告が可能になります。
さらに、被害が補償の対象か否かを判断する上でも、最新の資産台帳と棚卸記録が決定的な証拠になります。

固定資産管理は「守り」と「攻め」の両面に効く

固定資産の適切な管理は、単なる経理処理や棚卸作業にとどまりません。
それは、企業の経費を最適化し、財務の透明性を高め、災害や監査対応力を強化するための土台です。

そして、逆に言えば、これを怠ると「資産のムダ遣い」「経費の漏れ」「会計上のリスク」「説明責任の放棄」といった重大な問題につながる可能性があります。

定期的な棚卸を通じて「見える化」「最適化」「ガバナンス強化」を実現することが、これからの固定資産管理には求められています。

棚卸業務の課題

固定資産の棚卸は、企業活動に不可欠な業務ですが、その実施には多くの負担が伴います。とくに手作業や属人的な管理が中心となっている企業では、時間・労力・精度・継続性など、あらゆる面で課題が表面化します。

ここでは、実際の現場でよく挙げられる主な課題を4つの視点から掘り下げてみましょう。

(1)作業時間と人手がかかる

【課題の概要】
棚卸作業には、1つひとつの資産の現物確認、記録、照合、報告まで、多くの工程が発生します。対象資産が数百〜数千件に及ぶような企業では、総務部門だけでは到底手が回らず、現場担当者や他部署の応援が必要になるのが実情です。

【具体例】
・拠点が全国に散らばっている企業では、棚卸担当者が各地を移動して対応するため、出張コストや日数も増大
・応援に入った部署は通常業務と並行して行うため、生産性が下がり、作業の正確性も担保しにくい
・繁忙期と重なると、「この時期に棚卸か…」という精神的な負担にもつながる

【影響】
作業時間が長引けば、当然その分だけ人件費や間接コストも膨らみます。また、「面倒だから後回しに…」という心理が働き、実施時期が遅れたり、計画通りに進まないといった問題も発生しがちです。

(2)ヒューマンエラーが起きやすい

【課題の概要】
紙のチェックリストやExcel台帳を使っての棚卸は、記録・転記・確認のすべてが手作業です。そのため、人によってミスの出やすさに差があり、ミスの「検出」も後からでないとわかりません。

【具体例】
・手書きのチェックリストに「✔」を入れたつもりが見落としていた
・書かれた資産番号をExcelに入力した際に、数字を1桁間違えて記録
・チェック済みとした資産が実際は存在しない、あるいは別フロアにあった
・棚卸後、入力データと実際の資産が合わず、再調査に時間がかかるケースも多数

【影響】
こうしたミスは、資産の「所在不明」や「実在しない資産が台帳に残る」原因になります。とくに期末決算や監査のタイミングで不整合が発覚すると、企業としての信頼性にも関わる大きなリスクとなります。

(3)資産の移動・変化が追いきれない

【課題の概要】
固定資産は常に同じ場所にあるとは限りません。実際の業務では、部署のレイアウト変更、設備の増設・移設、人員異動などによって、資産の配置が頻繁に変わることがあります。

【具体例】
・「このデスクは経理部から営業部に移動していたのに、台帳上ではまだ経理部所属のまま」
・会議室の機器(プロジェクターなど)が他部署で流用されており、見つからず紛失扱いになること
・一時的に貸し出していたノートPCの返却が未処理になっていた
・倉庫で使われずに眠っている資産が、使用中の扱いになっている

【影響】
現物と台帳が一致しない「資産の管理ずれ」は、正しい資産評価や減価償却の計算に支障をきたすだけでなく、棚卸作業そのものの信頼性を損ないます。また、不要資産や重複購入の判断を誤る要因にもなりかねません。

(4)担当者依存の管理体制

【課題の概要】
資産の管理方法が属人的になっているケースも少なくありません。つまり、「どこにどんな資産があるのか」や「どうやって棚卸を進めるのか」といった情報が、特定の担当者に依存している状態です。

【具体例】
・固定資産台帳のフォーマットが古く、現任者しか扱えない
・棚卸の手順やルールが口頭ベースで伝承されており、マニュアル化されていない
・ベテラン社員が退職した後、資産の所在が不明になった例も存在

【影響】
こうした属人化は、担当者が異動・退職した際に大きな混乱を引き起こします。また、業務の引き継ぎが不十分だと、管理精度が低下し、資産の喪失や誤登録の原因になります。特に監査対応では、「なぜこの管理になっているのか?」に即答できず、企業としての説明責任を果たせないリスクも出てきます。

手作業+属人化の限界

これらの課題は、どれも「手作業」と「属人化」という構造的な問題に根差しています。
特に、資産数が増え、組織が大きくなるほど、こうした問題は顕在化しやすく、放置していると
企業経営にも影響する深刻なリスクへと発展しかねません。


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棚卸の失敗事例とその改善策

事例①:廃棄した資産が帳簿に残っていた

数年間、不要な固定資産税を払い続けていた。
改善策: 棚卸の結果を即時に台帳へ反映し、不要資産は速やかに除却処理すること。

事例②:使用中の機材を廃棄処理

倉庫に保管されていた機材が「不要品」と誤認されて廃棄。現場業務が一時停止。
改善策: 資産の状態(使用中/保管中/故障中など)を正確に把握・記録すること。

事例③:資産ラベルが剥がれて所在不明

同じ型番の機器が複数あり、どれがどの資産かわからなくなった。
改善策: ラベルの貼り方や保守、再発行のルールを整備しておくこと。

アプリを活用した棚卸の効率化

これらの課題を解決する手段として、固定資産管理アプリの活用があります。

固定資産の棚卸にアプリを導入することで、これまでの紙やExcel中心の作業とは比べものにならないほど、正確性・スピード・省力化が向上します。ここでは、アプリを使うことで具体的にどのようなことが可能になるのか、実際の運用シーンに即して解説します。

固定資産管理アプリでできること

QRコードやバーコードを使ってスマホで即時確認

資産1つひとつに貼られたQRコードやバーコードを、スマートフォンやタブレットでスキャンするだけで、その資産の詳細情報(資産番号、品名、型番、設置場所、取得日など)を即座に表示できます。

【現場での活用イメージ】
従来は「A棟3階 会議室」のPCが本当に帳簿にあるかを、紙で調べて照らし合わせていました。
アプリ導入後は、スマホでQRを読み取ると「会議室/ノートPC/2020年購入/使用中」などが一瞬で表示され、「確認済」としてワンタップで棚卸完了を登録できます。

資産ごとに写真・使用状況・コメントなどを記録

現場で確認した資産に対して、「使用中」「保管中」「故障中」「見つからない」などの状況をその場で選択でき、必要があれば写真の添付や備考コメントも残せます。

【便利な点】
・ラベルが剥がれかけていた → 写真で記録し、再発行の依頼コメントを追加
・倉庫の奥で見つけた資産が破損 → 故障中としてフラグ付け&現物写真を登録
・資産番号が読めない機材 → 他の識別情報と写真を残して後日確認依頼を送信

こうした記録が台帳と即時連携されるため、後から台帳を更新する手間もなくなります。

棚卸作業の進捗をリアルタイムに共有

部署ごとや拠点ごとに割り当てられた棚卸の進捗状況を、クラウド上でリアルタイムに把握できます。

【管理者側のメリット】
・どの資産がまだ未確認かが一目瞭然
・棚卸の完了率が可視化され、計画的に進捗管理が可能
・特定の部署やエリアで作業が滞っていれば早めにフォローできる

たとえば、営業所Aは棚卸進捗80%、営業所Bは30%などがダッシュボードで見える化され、作業完了の目途を立てやすくなります。

棚卸の記録が自動で保存され、過去の履歴も閲覧可能

アプリで入力したすべての棚卸データはクラウド上に自動保存され、過去の履歴にもすぐアクセス可能です。紙の記録のように紛失や破損の心配もありません。

【活用例】
・昨年の棚卸結果を参考に、今年の棚卸対象の変化を比較
・いつ、誰が、どの資産を確認したかの履歴が記録され、監査にも提出可能
・資産ごとの「棚卸未実施年数」などを一覧表示して、棚卸の優先度管理にも活用可能

拠点ごとの資産を一元管理(クラウド型の場合)

本社・支店・工場・営業所など複数拠点に分かれている場合でも、すべての資産情報をクラウド上で一括管理できます。

【具体的な効果】
・各拠点の資産台帳をバラバラで管理していた企業が、アプリ導入により本社で一元管理可能に
・台帳の更新が即座に全社反映されるため、情報のズレがなくなる
・拠点ごとの資産数・未使用資産・棚卸漏れなどを集計し、経営判断の材料にも活用

これにより、「同じ型番のノートPCが複数拠点に分散しているが、使っていないものがどこかにあるか?」という問いにも、すぐに答えられるようになります。

このように、固定資産棚卸アプリは単なる「作業ツール」ではなく、会社の資産を可視化し、正しく使うための仕組みそのものです。業務効率が大幅に改善されるだけでなく、棚卸の精度や内部統制の強化にも大きく寄与します。

「紙とExcelでがんばる時代」は、もう終わりにしませんか?


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アプリ導入の具体的なステップ

固定資産の棚卸を効率化するためにアプリを導入する際、ただ導入するだけではうまくいきません。現場に定着させ、継続的に活用するには、段階的な準備と社内連携が重要です。

ここでは、アプリ導入を成功させるための6ステップを、実務に即した形で詳しく説明します。

ステップ1:現状課題の洗い出し

目的:導入の“動機”と“課題感”を明確にする

■ やること:

  • ・各拠点や部門の担当者にヒアリングを実施
  • ・棚卸作業のどこに手間がかかっているのか、現行の資産台帳で困っている点を洗い出す
  • ・過去の棚卸報告書や内部監査報告を見直し、改善点を整理する

■ 主な課題例:

  • ・Excel管理で入力ミスが多発
  • ・現場と台帳の整合性がとれていない
  • ・資産番号がバラバラで検索に時間がかかる
  • ・棚卸に数日かかり、その間、通常業務が止まる

■ 注意点:

  • ・実際に棚卸業務を担当している現場社員の意見を最優先に
  • ・課題を「感覚」ではなく、「時間」「件数」「頻度」などで数値化しておくと、後の導入効果の測定にも役立ちます

ステップ2:要件定義

目的:自社に必要な機能を明確にする

■ やること:

  • ・現場で必要とされる機能を一覧化(例:QRコード対応、モバイル端末での入力、複数拠点対応)
  • ・IT部門や情報セキュリティ担当と連携し、社内システムとの親和性・セキュリティ要件も整理
  • ・「必須」「あれば良い」「不要」に分類する

■ 要件例:

  • ・スマートフォンで資産のスキャンが可能
  • ・クラウド型で拠点間共有ができる
  • ・複数人で同時編集が可能
  • ・棚卸履歴や作業ログが自動保存される

■ 注意点:

  • ・機能ばかりに目を向けず、操作性(UI/UX)や導入後のサポート体制も評価対象に入れる
  • ・要件は「現場で本当に使われること」を基準に決定する

ステップ3:アプリ選定

目的:最適なアプリを比較・検討し、導入候補を絞り込む

■ やること:

  • ・複数のベンダーから資料を取り寄せ、要件への適合度を比較
  • ・トライアル利用可能なものは実際に操作してみる
  • ・コスト構造(初期費用・月額費用・ユーザー数制限など)を把握

■ 評価項目例:

項目内容
機能自社要件とのマッチ度(QR対応・検索性など)
操作性誰でも使いやすいUI/UXか
セキュリティアクセス制御やデータ保護体制
導入・運用サポートマニュアル・問い合わせ対応・設定支援など
価格導入・運用コストの総額

■ 注意点:

  • ・価格だけで判断しない。「現場が使いこなせるか」が最優先
  • ・中小企業の場合、初期導入支援が手厚いベンダーの方がスムーズに進むことが多い

ステップ4:資産情報の整理とラベル発行

目的:アプリと紐づけるための資産情報を整備する

■ やること:

  • ・現在の資産台帳を精査し、「使っていない資産」「重複登録」などの不整合を整理
  • ・資産ごとにQRコードやバーコードのラベルを発行し、現物に貼付
  • ・資産名・保管場所・担当部署・取得年月などを整理し、アプリに一括登録

■ ラベル運用のコツ:

  • ・ラベルは高耐久・水濡れ対応の素材を選定(屋外・工場用も)
  • ・機器の見やすい位置に貼る(使用中の目障りにならない場所)
  • ・ラベルの発行・貼付状況を管理する「チェックリスト」を作成

■ 注意点:

  • ・整理中に「存在しない資産」「廃棄済み資産」が見つかることもある → 台帳修正を同時に進める
  • ・ラベル発行・貼付作業は部署ごとの責任者を立て、進捗管理する

ステップ5:社内説明とトライアル運用

目的:現場の理解と協力を得ながら、実運用に近い形でテストする

■ やること:

  • ・管理部門や関係部署に向けてアプリの説明会・操作研修を実施
  • ・まずは1部署、もしくは1拠点で小規模な棚卸作業を試験的に実施
  • ・操作のしやすさ、入力ミスの有無、現場からのフィードバックを収集

■ 注意点:

  • ・トライアルでは棚卸作業の全工程を1回分、実際にやり切ることが重要(部分的な確認では課題が見えにくい)
  • ・現場から上がった課題や要望は、正式導入前にできるだけ反映しておく

ステップ6:本格導入・評価

目的:全社的に導入し、PDCAを回しながら定着させる

■ やること:

  • ・全社または全拠点に対しアプリの本格導入を実施
  • ・導入初期は、操作ミスや問い合わせに即応できるサポート体制を整備
  • ・月次または半期ごとに運用状況をレビューし、機能の追加・マニュアルの改善などを行う

■ 成果指標の例(KPI):

  • 棚卸作業にかかる時間の削減(前年比)
  • 棚卸ミス・入力漏れの件数
  • 台帳更新率・資産の現物一致率
  • 現場からの満足度アンケート結果

■ 注意点:

  • ・最初の数ヶ月でのフォローが重要。現場の疑問・つまずきにすぐに対応できる体制
  • ・PDCAの「Check・Action」を忘れず、単なる導入で終わらせないこと

導入成功のカギは「現場目線」と「段階的な展開」

導入を成功させる企業の多くは、いきなり全社展開せず、小さな範囲で試し、確実に定着してから広げるという「スモールスタート+フィードバック重視」のスタイルを取っています。

また、単に「ツールを入れる」だけでなく、それをどう運用するか、誰が責任を持つか、どう評価するかまで一貫して設計することが、固定資産管理体制づくりには不可欠です。

アプリ選定のポイント

選定時には、以下のような点を重視すると失敗が少ないです。

チェック項目内容
操作性スマホで直感的に使えるか
機能性QR/バーコード対応・写真・コメント・履歴管理など
拡張性拠点が増えても対応可能か
外部連携会計ソフトやExcelとの連携可否
セキュリティアクセス権限・データの暗号化など
サポート体制導入時・運用時の問い合わせ対応

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内部統制や監査対応との関係

固定資産の棚卸は、単なる資産管理だけではなく、企業の内部統制や会計監査においても重要な意味を持ちます。とくに上場企業やそのグループ会社では、J-SOX(日本版SOX法)により内部統制の整備と運用の有効性が法的に求められており、固定資産管理の体制がその審査対象になるのです。

監査法人や社内監査部門の視点では、固定資産の棚卸は「資産の実在性の証明」「会計帳簿との整合性の確認」「記録の信頼性の担保」といった点で監査の重要チェックポイントになります。

なぜ棚卸が内部統制で重要視されるのか?

1. 「実在性」の証明

帳簿に記載されている資産が実際に存在しているかを確認するには、現物確認=棚卸が必須です。
とくに減価償却中の資産が存在しない状態で帳簿に残っていると、決算情報が虚偽表示になる可能性があり、重大な内部統制上の欠陥と判断されます。

2. 操作ログと責任の明確化

監査では、「誰が」「いつ」「何を」記録したかを追えるかが重視されます。棚卸結果の入力や台帳の更新履歴が曖昧だと、「改ざんの余地がある」と見なされ、重大な指摘事項となります。

3. 管理フローの一貫性と検証性

棚卸の実施状況が、年度ごと・拠点ごとに異なっている場合や、記録方法が統一されていない場合、内部統制が形骸化していると判断される可能性があります。

実際にあった監査指摘の例

指摘内容具体的な問題点リスク・影響
資産ラベルが未貼付のまま放置されていた現物と台帳の突合が不可能資産の不正使用や私的流用のリスク
棚卸の記録がExcelで手入力、誰が入力したか不明操作ログが残らない棚卸データの信頼性が担保できない
棚卸が実施された日付の記録が曖昧年度内に実施されたか証明できない会計監査で棚卸の実施が認められず、修正指示が出る可能性

アプリ導入による内部統制上の効果

固定資産管理アプリを導入することで、内部統制や監査対応の多くの課題に自動的に対応できる体制を構築できます。特に次のようなメリットがあります。

1. 現物確認の記録がデジタルで残る

スマートフォンやタブレットでQRコードをスキャンし、リアルタイムで「誰が・いつ・どこで確認したか」が記録されるため、実在性の証明がシステムログで裏付け可能です。

2. 操作ログ・変更履歴が自動で保存

台帳の修正や棚卸結果の登録など、すべての操作に対してユーザーID・日時・変更内容が自動記録されます。これにより、改ざんやミスの発生時にも追跡が可能になります。

3. 拠点別の棚卸進捗を一元管理

本部側で、全拠点の棚卸の実施状況・完了報告・差異件数などをリアルタイムで把握でき、監査法人からの「統一管理体制の証明」に対応できます。

4. 棚卸報告書や監査用データの出力が容易

監査で求められる「棚卸ログ一覧」や「資産差異報告書」なども、ワンクリックで帳票出力できる機能が備わっており、書類の取りまとめ作業にかかる工数を大幅に削減できます。

監査対応に強い体制を構築するポイント

  • 棚卸に関する社内ルール・マニュアルを整備し、「いつまでに・誰が・どう実施するか」を明文化しておく
  • ・定期的に内部監査部門と連携し、改善指摘を反映させるサイクル(PDCA)を構築する
  • ・アプリの運用状況をレポート形式で定期共有し、社内監査だけでなく外部監査法人への説明資料としても活用できるようにする

監査対応は“準備”と“見える化”がすべて

棚卸は、現場で「やらされ業務」になりがちですが、会計の透明性と組織の信用を守るための基盤業務でもあります。
固定資産管理アプリをうまく活用すれば、こうした監査対応や内部統制に自然と対応でき、ミスや属人化のリスクを抑えながら“見える化”された運用が実現できます。

その結果、総務部門としても他部署から信頼される管理体制を築くことができ、経営陣や監査法人からの評価向上にもつながるのです。

固定資産管理の効率化なら『備品管理クラウド』

アストロラボ株式会社の『備品管理クラウド』は、固定資産管理機能により固定資産管理を効率化します。

償却資産管理

備品管理クラウドは、同じアイテムに対して、目的の異なる備品管理と償却資産管理を同時に行うことができます。
総務担当者、経理担当者、顧問税理士など、償却資産管理にかかわる人が情報を共有できるので、めんどうなやりとりを減らせます。
また、税務申告に必要な固定資産管理ソフトの連携も可能なため、償却資産管理をスムーズに行えます。

固定資産管理機能

備品管理クラウドは、固定資産管理ソフトと連携ができます。
固定資産管理ソフトの情報をCSVでエクスポートし、備品管理クラウドにアップロードすると、固定資産管理ソフト上で管理されている資産と、備品管理クラウドに登録しているアイテムを紐づけて管理できるようになります。

また、備品管理クラウド上にまだ登録がない資産については、新規アイテムとして備品管理クラウドに取り込むことができます。

固定資産管理ソフトを更新したあとで、備品管理クラウドに差分取り込みすることも可能です。

部署の壁を超えて情報を共有

たとえば、償却資産として管理する必要があるアイテムを購入したとき、購入担当者が備品管理クラウドに登録すれば、このアイテムがどういうものなのか顧問税理士もすぐに内容を確認できます。
今までのように、どういうアイテムかわからず、税理士から経理担当者へ、経理担当者から総務担当者へ聞く手間もなくなります。

移動や廃棄など、資産に関連する情報に変化があったときも、総務担当者が備品管理クラウドで更新した内容は経理部でもすぐに把握することできます。
もちろん、遠く離れた支社で更新された情報もリアルタイムに確認できます。

固定資産の棚卸

現物を確認するための棚卸も、備品管理クラウドで簡単に行えます。
備品管理クラウドに登録されている固定資産対象のアイテムと、実際のアイテムの状態が一致しているかを確認し、固定資産台帳の正確性を担保します。

また、備品管理クラウドなら、棚卸するために特別な機器を用意する必要もありません。
アイテムを利用している部署やスタッフが直接棚卸をできるので、備品を管理する担当者の負担が軽減されます。


『備品管理クラウド』に少しでも興味を持たれた場合は、下記よりお気軽にお問い合わせください。


まとめ

固定資産の棚卸は、ただの「数合わせ作業」ではありません。会社の資産を守り、コストを減らし、業務を効率化するための重要な業務です。

手間と時間のかかる作業ですが、アプリの導入によってその負担は大きく軽減できます。効率化だけでなく、監査対応・社内統制の強化にもつながります。

ぜひ、現状の棚卸のやり方を見直し、「今よりもっとラクに、もっと正確に」管理できる体制づくりに一歩踏み出してみてください。


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