鍵管理台帳の作成手順と管理方法
アストロラボ株式会社

会社や施設の中では、会議室、倉庫、営業車など、さまざまな場所や物を使うために「鍵」が必要になります。
ところが、その鍵が「どこにあるのか分からない」「誰が持ち出したか分からない」「返却されていない」といったトラブルは、意外とよく起こります。
こうした鍵の紛失や管理ミスは、業務の遅延やセキュリティリスクにもつながりかねません。
特に総務部門では、全社の鍵を管理する立場として、ルールの整備や台帳の活用が重要になります。
本記事では、「鍵管理台帳とは何か」から、「作成の手順」「日々の運用方法」「トラブル防止のポイント」までを、初めて鍵管理を担当する方にも分かりやすく解説します。
明日からすぐ実践できる内容をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
鍵管理台帳とは?
鍵管理台帳とは、会社や施設の中で使用される物理的な「鍵」の所在や貸出状況を記録・管理するための帳簿やリストのことです。
たとえば、会議室、倉庫、ロッカー、営業車、備品保管庫など、さまざまな場面で鍵が使われています。
こうした鍵を、誰が・いつ・なぜ使ったのかを把握していないと、「鍵が見つからない」「いつの間にか紛失していた」「誰が使ったか分からない」といったトラブルが起こる可能性があります。
鍵管理台帳は、こうしたトラブルを防ぐための非常に基本的かつ重要なツールです。
きちんと整備・運用すれば、次のような効果が期待できます。
・鍵の所在や使用履歴が明確になり、紛失や盗難のリスクを軽減できる
・鍵を使用する人に、責任感や管理意識が生まれる
・総務や管理者の業務が効率化され、トラブル対応の手間も減る
鍵管理台帳を作る4つのステップ
1. 台帳の形式を決める
まずは、台帳をどの形式で作成するかを決めましょう。
選択肢としては、以下のようなものがあります。
・Excel(またはGoogleスプレッドシート):手軽で使いやすく、カスタマイズ可能
・紙の帳簿:小規模な運用向き。アナログでも一定の管理は可能
・専用の鍵管理システム:中規模~大規模事業者向け。自動記録や履歴管理が可能
多くの企業では、まずExcelなどの表計算ソフトから始めることが一般的です。
テンプレートを使えば、誰でもすぐに台帳の雛形を作成できます。
後々、管理する鍵が増えたり、担当者が交代してもスムーズに引き継げるよう、汎用性の高い形式で始めるのがポイントです。
2. 鍵ごとの情報を整理する
台帳に記載する情報は、できるだけ「後から見ても誰でも理解できる」内容にしておくことが大切です。最低限、以下の情報は記載するようにしましょう。
・鍵番号(ユニークなIDを振る)
・鍵の名称(例:営業車Aのキー、倉庫1の南京錠)
・保管場所(例:総務課の鍵棚、受付のロッカー)
・使用目的(例:会議室の入退室、備品倉庫の開閉)
・所有部門(部署名など)
・使用対象者(個人名または所属部署)
・合鍵の有無・本数
・発注履歴や交換履歴(可能なら)
これらの情報は、最初に台帳を整備するときに、現物の鍵を一つひとつ確認しながら入力するとミスが少なくなります。
また、鍵に番号シールやタグを付けておくことで、現物と台帳の対応が一目でわかるようになります。
3. 貸出・返却ルールを定める
次に、鍵を「いつ」「誰に」貸し出し、「いつ」返却されたかを正確に記録する運用ルールを定めます。一般的に、次のようなルールを決めるとよいでしょう。
・貸出前に本人確認を行い、台帳に【名前・日時・用途・返却予定日】を記録する
・鍵の返却時には、【返却日時・返却者】を記入し、鍵の状態を目視確認する
・未返却の鍵がある場合は、担当者がリマインドする
・長期間使用する場合は、一定期間ごとに更新確認を行う
紙の記入だけでなく、ExcelやGoogleスプレッドシートで管理すれば、リアルタイムでの更新が可能になります。
また、責任の所在を明確にするために、貸出時には署名をもらうなどの対応も有効です。
4. 書き方・記録方法を標準化する
鍵管理台帳は、誰が記入しても同じように運用できるように、記入ルールや使い方のガイドラインを設けておくことが重要です。以下のようなルール整備を行いましょう。
・「日時の書き方(例:2025/06/01)」を統一する
・「用途」の記載ルールを明文化(例:「社有車使用」「倉庫内確認作業」など)
・「返却漏れ時の対応方法」もマニュアルに記載
・管理シートに説明文やサンプル記入を添付
こうした標準化は、「慣れていない人」や「新入社員」が初めて運用する際にも非常に役立ちます。
マニュアルとセットで運用することで、記入ミスや情報の抜け落ちを防げます。
鍵管理運用の3つのポイント
1. 定期的な棚卸し
台帳に記録されていても、実際の鍵がなかったり、記録と実態がズレていると意味がありません。
そのため、月1回または四半期に1回程度、物理的な鍵と台帳の突合せ(棚卸し)を行いましょう。
・鍵の現物と、台帳の記載内容が一致しているか確認する
・貸出中の鍵が未返却で長期化していないか確認
・不備が見つかった場合は、関係者に速やかに報告・是正を求める
このような棚卸しを定期的に実施することで、鍵管理の精度が大きく向上します。
2. 管理者と担当部署の役割分担
鍵の管理責任を「誰が持つか」を明確にしておかないと、トラブル発生時の対応が遅れます。
以下のように役割を分担することが望ましいです。
・総務部門:全社の鍵管理方針の策定、台帳の管理・保守
・各部署:自部署に関連する鍵の保管・貸出管理
・管理者:台帳の更新、運用ルールの徹底・周知
小規模な会社でも、「鍵のことはこの人に聞けば分かる」という管理者を決めておくだけでも、管理体制が整いやすくなります。
3. 鍵管理ルール・マニュアルの整備
運用ルールは口頭で伝えるだけでなく、書面化・共有しておくことで、社内での混乱を防げます。
最低限、以下の内容を盛り込んだ簡易マニュアルを作成しましょう。
・台帳の見方・記入方法
・鍵の貸出・返却フロー
・紛失・盗難時の対応手順
・管理責任者の連絡先
・禁止事項(個人での保管・私的利用など)
ポスター形式で掲示したり、社内イントラに掲載することで、従業員の意識も高まります。
エクセルで作成した鍵管理台帳の限界
鍵管理を始めるにあたって、多くの企業や組織が最初に選ぶ方法が「エクセルでの管理」です。
確かに、エクセルは手軽に使えるうえ、テンプレートを活用すればすぐに鍵管理台帳を作成できます。また、セルの構成や項目も自由に編集できるため、自社の運用に合わせたカスタマイズも可能です。
しかし、エクセルには便利さと同時にいくつかの限界やリスクも存在します。
導入初期は問題がなくても、鍵の本数が増えたり、複数の担当者が台帳に関わるようになったりすると、次第に以下のような課題が浮かび上がってきます。
① 入力ミス・記録漏れが起こりやすい
エクセルの管理では、貸出・返却のたびに手作業で情報を入力する必要があります。
忙しい現場では、どうしても入力を忘れたり、後回しになってしまうことがあります。
その結果、「返却されたはずなのに台帳に記録がない」「誰が借りたのか不明」といった事態に発展し、鍵の紛失や誤解を招くことになります。
また、書式を誤って入力してしまったり、間違ってデータを上書きしてしまうと、履歴の正確性が失われてしまいます。
こうした「人の手」に依存した管理方法には、常にヒューマンエラーのリスクが伴います。
② リアルタイムでの共有が難しい
複数の部署や人が同時に鍵を使用する場合、台帳の情報をリアルタイムで更新・共有できるかどうかは非常に重要です。
しかし、エクセルファイルをローカル保存している場合は、都度ファイルを開き、保存し直す必要があるため、「最新情報が反映されていない」という問題が起こります。
たとえば、ある社員が営業車の鍵を借りたのに、それを記録する前に別の社員が同じ車を使おうとすると、「あれ?もう誰か持っていった?」という混乱が生じます。
Googleスプレッドシートを使えばある程度リアルタイム性は向上しますが、それでも入力は手作業であり、通知機能やエラー検知などのサポートがない点は変わりません。
③ 管理が属人化しやすい
エクセル台帳は、特定の担当者だけが更新・管理しているケースが多く、「担当者が休んでいて分からない」「引き継ぎがされていなくて台帳の使い方が不明」といった問題が起こりがちです。
これはいわゆる「属人化」と呼ばれ、鍵の管理が一部の人に依存してしまうことを意味します。
属人化が進むと、管理ルールがあいまいになり、台帳が正確に運用されなくなってしまう危険性があります。
これでは、せっかく作成した台帳も形だけの存在になりかねません。
④ 情報の改ざんや消失リスクがある
エクセルファイルは簡単に上書きや削除ができるため、万が一誤操作をしたり、意図的にデータを改ざんされた場合でも、それを防ぐ手段や記録(ログ)が残りません。
また、ローカル環境でしか管理していない場合、パソコンの故障やファイルの紛失により、すべての記録が消えてしまうリスクもあります。
鍵管理の仕組み化と自動化の導入例
これまで説明してきたように、エクセルを使った鍵管理にはいくつかの限界があります。人の手で入力・更新を行うスタイルでは、どうしても入力漏れや記録ミスが起こりやすく、業務が複雑になるほど管理が追いつかなくなってしまいます。
こうした課題を解決するために、最近では「鍵の管理そのものを仕組み化・自動化」する企業が増えてきています。
ここでは、総務部門でも導入しやすい、代表的な4つの方法をご紹介します。
① キーボックスの導入(鍵管理ボックス)
キーボックスは、専用のボックスに複数の鍵を収納し、「誰が・いつ・どの鍵を取り出したか」「返却したかどうか」といった情報を自動で記録する装置です。
カードキーや暗証番号を使って鍵を取り出す仕組みが一般的で、不正な持ち出しや返却忘れを防ぐことができます。
操作履歴がすべて記録されるため、あとから「いつ、誰が使ったか」を調べるのも簡単です。
また、鍵ごとに使用権限を設定できる製品もあり、「この鍵はこの部署しか使えない」といった制限も可能になります。
鍵の紛失や無断利用が多い職場では、非常に効果的です。
メリット:
・鍵の使用履歴が自動で記録される
・利用者ごとのアクセス制限が可能
・鍵の紛失・返却漏れが起きにくい
・管理者の負担を軽減できる
② ICタグやバーコードを使った鍵管理
鍵にICタグやバーコードをつけて管理する方法です。
貸し出す際にスキャナーでタグを読み取れば、貸出日時・利用者・鍵の種類などの情報がシステムに自動で記録されます。
たとえば、社員証にICチップが入っている場合は、それと連動させることで「誰がどの鍵を借りたのか」がすぐに分かります。
返却の際も同じようにスキャンするだけなので、非常にスムーズです。
紙やエクセルに書き込む手間がなくなり、記録ミスや入力漏れも減ります。
データはクラウド上で管理されることも多いため、複数拠点での運用にも対応可能です。
メリット:
・貸出・返却がスキャンだけで完了
・人の手によるミスが起きにくい
・履歴がデジタルで保存されるため確認しやすい
・データの一元管理が可能
③ スマートロックの導入(鍵そのものをなくす)
「そもそも物理的な鍵を使うのをやめる」という考え方もあります。
それが、スマートロックの導入です。
スマートロックとは、スマートフォンのアプリやICカード、顔認証などでドアを開閉できる電子錠のことです。
たとえば、「オフィスの会議室」や「機密資料室」などにスマートロックを設置すれば、アプリを操作するだけで鍵を開けられるようになります。
さらに、開錠のログ(誰がいつ入室したか)も記録されるため、セキュリティ管理にも役立ちます。
物理的な鍵をなくすことで、紛失のリスク自体をゼロにできるのが最大の特徴です。
メリット:
・鍵を物理的に持ち歩く必要がない誰がいつ開けたか記録が残る
・権限設定が簡単(曜日・時間で制限も可能)
・鍵の複製や紛失リスクがない
④ クラウド型備品管理システムの活用
最後にご紹介するのが、クラウド型の備品管理システムです。
これは、エクセル台帳をより安全・便利に進化させたような仕組みで、インターネットを通じて複数人でリアルタイムに鍵の状況を把握・更新できるのが特長です。
たとえば、クラウド型備品管理システムには以下のような機能があります。
・貸出・返却の自動記録
・鍵の情報(メーカーや型番など)の自動登録
・利用者への返却リマインド通知
・QRコードやRFIDを活用した棚卸し
・管理者による一括チェック
「鍵がいつ、誰に貸し出されたか」「今どこにあるか」「返却されていない鍵はどれか」などをすぐに確認できるため、トラブル対応のスピードも格段に上がります。
メリット:
・鍵の管理状況が一目で分かる
・操作ミスや記録漏れが減る
・担当者の負担を軽減
・テレワーク中でも遠隔から状況確認が可能
鍵管理の効率化なら『備品管理クラウド』
これまでご紹介してきたように、エクセルによる手作業の鍵管理には多くの限界があります。
鍵の使用履歴が残らない、入力ミスが起きる、リアルタイムで共有できないといった問題は、業務に支障をきたすだけでなく、社内の信頼関係やセキュリティにも影響を与えかねません。
そんな中、「もっとラクに、正確に、確実に鍵を管理したい」という企業や組織に選ばれているのが、アストロラボ株式会社が提供する『備品管理クラウド』です。
「備品管理クラウド」とは?
『備品管理クラウド』は、企業・団体で使われる備品や資産を、クラウド上で一元化できる管理システムです。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも操作でき、社内のどこからでもリアルタイムに情報を確認・更新できるのが特徴です。
「備品」と聞くとパソコンやプロジェクターなどをイメージするかもしれませんが、実はこのシステム、鍵の管理にも非常に適している機能を持っています。
鍵管理に役立つ機能が充実
『備品管理クラウド』では、鍵も「管理対象の備品」として登録できます。
貸出・返却の履歴はすべてシステム上に記録され、誰がいつ鍵を使ったかを簡単に追跡できます。
また、以下のような機能も鍵管理の効率化に大きく貢献します。
・鍵の情報を自動登録
スマホアプリで鍵の製品ラベルを読み取るだけで、鍵のメーカーや型番など鍵の管理に必要な情報が自動登録されます。
これまで手作業で実施してきた鍵の登録・更新作業の手間が大幅に削減されます。
・貸出中・返却待ちの状態が一目で分かる
鍵が今どこにあるのか、返却されているのかがリアルタイムで把握可能です。
・リマインド機能で返却漏れを防止
鍵を返し忘れている人に、自動でメールなどで通知を出すことができます。
・予約管理ができる
たとえば、営業車の鍵を「○月○日の○時〜○時に使いたい」といった予約も可能。
ダブルブッキングも防げます。
・RFIDやQRコードを活用した棚卸しが可能
RFIDを活用した棚卸しが可能で、鍵の数が膨大であっても瞬時に棚卸しが完了します。
また、QRコードを活用した棚卸しも可能で、QRコードを読み取るだけで棚卸しが完了するため、手作業での棚卸記録の登録・更新が不要となり、棚卸作業を効率化します。
これらの機能を使うことで、エクセルでは対応が難しかった課題が一気に解消されます。
現場の「使いやすさ」にこだわった設計
『備品管理クラウド』は、ITに不慣れな方でも直感的に使えるシンプルな画面設計が特長です。
多くの企業で導入されている理由のひとつは、「総務部門や現場担当者が無理なく続けられる」ことにあります。
たとえば、「貸し出しボタン」「返却ボタン」が分かりやすく表示されていたり、一覧画面で現在の鍵の状況を一目で確認できるようになっていたりと、現場の実務をしっかりと意識した作りになっています。
また、操作マニュアルも充実しており、導入時のサポート体制も整っているため、「システム導入に不安がある」という企業でも安心してスタートできます。
導入効果の一例
実際に『備品管理クラウド』を導入した企業では、以下のような成果が報告されています。
・鍵の紛失件数がゼロになった
・管理担当者の作業時間が月に5時間以上削減
・鍵の利用状況を簡単に報告できるようになった
・担当交代時の引き継ぎがスムーズに
このように、日々の鍵管理をクラウドで見える化・自動化することで、業務の効率化だけでなく、トラブルや属人化の防止にもつながるのです。
手間とリスクを減らし、「誰でもできる」鍵管理へ
『備品管理クラウド』を活用すれば、これまで紙やエクセルで苦労していた鍵の管理が、シンプルで確実なものになります。
鍵を「備品」として捉え、ITの力で仕組み化することで、管理の抜け漏れをなくし、誰が担当しても安定した運用が可能になります。
鍵の管理に不安を感じている方、これから改善を考えている方は、まずは『備品管理クラウド』の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
『備品管理クラウド』に少しでも興味がありましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。