会社の備品をリース資産にするメリット・デメリットと管理方法
アストロラボ株式会社

会社の備品を購入するか、それともリースで使うか。
総務部門の皆さんにとって、この選択は日常的に直面する重要な業務のひとつです。
特にパソコンや複合機、オフィス家具などの高額な備品は、コストや管理負担に大きく関わります。
このコラムでは、備品を「リース資産」として導入する方法に焦点を当て、そのメリットとデメリットを具体的に解説します。
また、実際に導入した後の管理方法についても、総務業務の視点から丁寧にご紹介します。
「難しそう」と感じる方でも大丈夫です。
わかりやすく、実務に役立つ内容をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
備品をリースで使うとは?
リースとは、簡単に言えば「借りて使う契約」です。
リース会社が購入した物品を、会社が一定期間借りて使用する仕組みで、契約期間中は毎月一定の料金(リース料)を支払います。
会社がリースで扱う主な備品には、以下のようなものがあります
・パソコンやプリンターなどのIT機器
・複合機やシュレッダーなどのOA機器
・社用車やフォークリフト
・オフィス家具やロッカー
リースとレンタルの違いもよく話題になりますが、リースは「中長期契約(3〜5年程度)」であるのに対し、レンタルは「短期利用(数日〜数カ月)」に適しています。
リースのメリット
初期費用を抑えられる
備品を購入すると、導入時にまとまった費用が発生します。
一方、リースなら、初期費用がかからず、月々一定額の支払いで済みます。
例えば、100万円の複合機を購入する場合、初期投資が一気に出ていきますが、リースであれば月2万円×5年のように分割できます。
これは特に中小企業や予算管理の厳しい部署にとって、大きなメリットです。
最新機器に切り替えやすい
リース契約は数年ごとに更新されるため、古くなった備品を自動的に新しいモデルへと入れ替えるチャンスが得られます。
特にパソコンやソフトウェアのように、技術の進歩が早い機器ではこの利点が際立ちます。
常に最新の機器を使えることで、業務効率も上がり、社員のストレスも軽減されます。
リース料が経費になる
リース料は毎月の経費として処理できます。
これは会計上のメリットであり、固定資産のように減価償却をする必要がありません。
経理処理が簡素化されるだけでなく、税務上の節税効果も期待できます。
社内管理の負担が減る
リース会社がメンテナンスや修理対応を担う契約内容であれば、総務部門が備品の修理業者を探したり、費用の確認をする手間が省けます。
さらに、廃棄処理やリサイクルの手配もリース会社が行うケースもあり、総務担当者の業務負担を軽減します。
リースのデメリット
所有権が自社にない
リース資産はあくまで「借り物」です。
契約が終われば返却するのが基本ですので、自由に改造したり売却したりはできません。
また、契約期間中はリース会社の所有物として扱われ、資産計上も基本的には行われません。
総支払額が購入より高い
リース契約には利息や手数料が含まれているため、トータルで支払う金額は購入するより高くなる場合が多いです。
たとえば、50万円のパソコンをリースで5年間使用した場合、合計支払い額が60万円を超えることも珍しくありません。
コストパフォーマンスの観点から慎重な検討が必要です。
途中解約できない
原則として、リース契約は途中で解約できません。
どうしても解約したい場合は、残り期間分のリース料や違約金を支払う必要が出てきます。
組織再編や拠点統合などで備品が不要になったとしても、リース契約中であれば費用だけが発生し続けてしまうリスクがあります。
審査がある場合がある
リース契約には、企業の信用情報に基づいた審査がある場合があります。
新設法人や赤字決算が続いている企業は、リース会社から契約を断られることもあるため、事前の情報収集が重要です。
効率的なリース備品の管理方法
契約内容をしっかり確認
契約期間・毎月の支払額・中途解約の条件・故障時の対応など、契約書に記載された内容はすべて把握しておくことが重要です。
「あと1年のつもりだったが、実は3年契約だった」というような行き違いを防ぐためにも、内容を要約した一覧表を社内で作成しておくと便利です。
台帳でリース情報を整理
リース備品ごとに、「物品名」「契約期間」「リース会社名」「設置場所」「使用部門」「リース料」などを記録した台帳を用意しましょう。
Excelを使えば、誰でも簡単に台帳を更新・共有できます。
台帳は棚卸しや予算作成にも役立ちます。
支払いの自動化
月々のリース料は、自動引き落としやネットバンキングでの支払い設定をしておくと、振込忘れを防げます。
毎月の請求書処理も軽減され、業務効率が上がります。
契約終了後の選択肢を検討
契約満了後の選択肢には、以下の3つがあります。
・契約終了して返却する
・契約を延長する(再リース)
・残価を支払って買い取る
備品の使用状況や耐用年数を考慮して、最適な選択を行いましょう。
リース備品管理の課題
契約情報管理の属人化
リース契約に関する情報が一部の担当者のみに任されていたり、紙の契約書のままファイル保管されていると、引き継ぎ時やトラブル発生時に対応が困難になります。
対応策:
契約内容や更新時期などの情報は、クラウド台帳や共有フォルダにまとめ、関係者全員でアクセスできるようにしておくことが重要です。
誰が見ても状況が分かる「見える化」がリスク回避に繋がります。
契約満了日の管理ミス
リース契約の多くは自動更新です。
更新を希望しない場合には、数か月前までに書面で通知が必要なケースもあり、満了日を忘れてしまうと不本意に契約が延長されてしまいます。
対応策:
契約満了日の管理は、スケジュール管理ツールやアラート機能付きのクラウドサービスで通知設定をすることで回避できます。
特に「契約の更新通知期限」を管理しておくのがポイントです。
備品の所在・使用者が不明
リース備品が複数拠点や部署に分散していると、「どこにあるのか」「誰が使っているのか」が分からなくなることがあります。
返却時に探し回る、使用状況の把握ができないといったトラブルも発生しがちです。
対応策:
備品ごとに設置場所・使用者を記録し、異動や配置換えの際には必ず情報を更新するルールを設けましょう。ラベルやバーコードの活用も効果的です。
契約台帳と実態の不一致
実際に現場で使われている備品と、管理台帳に記載されている内容が一致していないことがあります。リース終了済みの機器が未返却になっていたり、処分済みの備品が台帳に残っているケースも見受けられます。
対応策:
年1回程度の定期的な棚卸しを実施し、台帳情報との整合性を確認することが大切です。クラウドシステムであれば、現場からスマートフォンで棚卸し結果を入力でき、効率的な運用が可能です。
経理処理との連携不足
総務と経理が別部門である場合、リース備品の契約内容や支払条件が経理側に正しく伝わっていないこともあります。その結果、会計処理や原価配分にミスが生じるリスクがあります。
対応策:
契約開始時や変更時には、必ず経理担当者と情報を共有するフローを構築しましょう。支払スケジュールや勘定科目、消費税区分なども確認しながら連携することが、トラブルを防ぎます。
クラウド活用による管理の省力化
備品や物品の管理には、正確さと継続性が求められます。しかし、Excelや紙の台帳で管理していると、入力ミス、更新漏れ、担当者の異動による引き継ぎ不足など、多くの問題が発生しやすくなります。
そこで注目されているのが、クラウド型の備品管理ツールの活用です。
ここでは、クラウドを活用した管理方法の利点と、どのように現場で活かせるのかを解説します。
クラウドなら「いつでも・どこでも」確認できる
クラウド型の管理ツールを導入すれば、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセスできます。
たとえば、以下のような場面で非常に便利です。
・外出先で備品の在庫状況を確認したいとき
・会議中にリース契約の内容をすぐに共有したいとき
・現場での棚卸し作業時に、その場でデータを入力したいとき
紙の台帳や社内ファイルサーバーではアクセスが制限されることがありますが、クラウドならインターネット環境さえあれば、どこからでも必要な情報にアクセスできます。
リアルタイムで情報を更新・共有できる
クラウドの最大の特長は、リアルタイムでの情報共有が可能なことです。
これにより、次のような管理ミスを防ぐことができます。
・備品の異動や貸出情報が反映されていない
・契約満了日やリース料金が古いままになっている
・担当者が記録を更新せず、台帳と実物が食い違う
更新するたびに全員の情報が自動的に最新になるので、属人化や情報の食い違いを防げます。
また、誰が・いつ・何を更新したのかという操作履歴のログが残りますので、万一のトラブル時にも原因を追跡できます。
契約や備品の情報を一元管理できる
クラウド型管理ツールでは、以下のような情報をまとめて一元管理することができます。
* 備品の品名・型番・数量
* 使用部門・使用者・設置場所
* リース契約の開始日・終了日・リース会社情報
* 契約書のPDFや写真データの添付
* 支払スケジュールや支払先口座情報
これにより、「契約情報はファイルサーバー、使用者情報はExcel、写真はメール添付」といったバラバラな管理を解消し、業務を一つの画面で完結できるようになります。
アラート機能で更新漏れを防止
多くのクラウド型備品管理システムには、アラート通知の機能が備わっています。
以下のようなリマインドを自動で行ってくれるため、うっかりミスを防止できます。
* 契約満了日の●か月前にアラート通知
* 点検・棚卸しのタイミングでリマインド
* 支払期日が近づいたら担当者へ自動通知
人がカレンダーやExcelで手動管理するのではなく、システムが代わりに見張ってくれるという仕組みです。これは、限られた人数で多くの備品を管理する総務部門にとって、大きな負担軽減になります。
他部門・外部委託先との連携もスムーズに
備品や物品の管理は、総務部門だけで完結するものではありません。
以下のように、他部門や外部業者との連携が必要になる場面も多くあります。
* IT部門:パソコンやソフトウェアライセンスの管理
* 経理部門:リース料の支払や原価配分
* 倉庫管理会社:備品の一時保管や発送業務
クラウドシステムを使えば、必要な情報だけを権限設定して共有することができ、情報セキュリティにも配慮しつつ、スピーディなやり取りが可能になります。
代表的なクラウド型備品管理システムの機能
備品・物品管理に使われる代表的なクラウドサービスには、以下のような機能があります。
機能項目 | 内容例 |
---|---|
登録・検索機能 | 品番やカテゴリ別で素早く検索。フィルター機能も便利。 |
契約管理機能 | 契約日・満了日の管理、契約書ファイルの添付が可能。 |
アラート通知機能 | 満了日や点検日を自動でメール通知。 |
棚卸しサポート機能 | スマホアプリでQRコードを読み取り、棚卸し結果を即時反映。 |
操作ログ記録機能 | 誰が・いつ・どの項目を更新したか記録され、監査にも対応可能。 |
クラウド活用で「業務の見える化」と「管理の効率化」を両立
クラウド型の管理ツールを導入することで、「情報の一元化」「作業の効率化」「ミスの削減」が実現できます。これまでExcelや紙台帳で苦労していた管理業務も、ツールを活用すれば、誰が担当しても迷わない状態をつくることができます。
特に、備品のリース契約は「期限・金額・返却」などの制約が多く、ミスがそのままコストや信頼に直結します。こうしたリスクを減らすためにも、クラウドの力を借りた省力的な管理体制が、今後ますます重要になっていくでしょう。
リース管理の効率化なら『備品管理クラウド』
アストロラボ株式会社の『備品管理クラウド』は、リース管理を効率化する機能が提供されています。
備品管理クラウドの機能
自動入力
スマホアプリでJANコードや製品ラベルを撮影すると、備品の名前・メーカー・型番等の備品管理に必要な情報が自動で入力されますので、備品を簡単に登録することができます。例えば、パソコンをリースしている場合は、OS・メモリ・CPU・ストレージといったリース管理に必要なスペック情報が自動で入力されます。また、自動入力により、手動入力の際に発生していた入力ミスなどのヒューマンエラーを低減します。
備品の写真を登録できる
備品の情報の他に、備品の写真も登録することができます。アイテム一覧ページにも写真が表示され、 備品が一目で把握できます。文字だけでは不明瞭な部分も、写真によって視覚的に理解でき、色や特徴の違いも容易に判別可能です。
関連ファイル管理
リースの見積書や稟議書、リース契約書、取扱説明書など備品に関連する書類やファイルを備品に紐付けて保存することができます。
期限管理
リース期限、保証期限、ライセンス期限、レンタル期限などを登録することができます。期限が近づくとアラートが通知されるため、解約漏れや更新忘れを防ぐことができます。
履歴管理
備品情報の変更や貸出・返却が履歴として残ります。
紐付け管理
ACアダプタなど、セットで管理したい備品を紐付けることができます。
貸出・返却管理
どのリース備品を誰がいつまで借りているか、簡単に把握することができます。また、返却期限が近づくとアラートが通知されるため、返却漏れを防止することができます。
『備品管理クラウド』に少しでも興味を持たれた場合は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
まとめ
備品をリースで導入することには、多くの利点があります。初期費用を抑えられ、最新機器を継続的に利用でき、管理負担の軽減にもつながります。
その一方で、所有権がないことや途中解約ができないなどの制約もあります。これらを踏まえて、会社の経営方針や予算状況に応じた判断が求められます。
また、備品の情報をしっかり管理し、必要に応じてクラウドツールを導入することで、総務部門の業務効率をさらに向上させることが可能です。
リースという選択肢を上手に活用し、備品管理をもっとスマートにしていきましょう。