製造業のための設備管理とメンテナンスの効率化
アストロラボ株式会社
製造業の現場では、固定資産管理(機器の貸出管理や棚卸しなど)に加え、機器の定期点検や修理対応などのメンテナンス管理が求められます。
このような設備管理業務は、正確かつ効率よく実施する必要がありますが、多くの製造業の現場ではExcelの設備管理台帳を使用した設備管理業務が行われており、正確性と効率化が課題となっています。
このコラムでは設備管理業務における課題と効率化方法について説明します。
設備管理台帳とは
製造業の現場における設備管理台帳は、効率的な設備運用を支援するための重要なツールです。
一般的に、以下のような管理項目が含まれます。
設備の基本情報
設備名、型番、製造元、購入日、配置場所など。
保守・メンテナンス履歴
定期的な点検日、実施内容、担当者、次回の点検予定日など。
故障履歴
故障日、故障内容、修理日、修理内容、修理費用など。
性能指標
稼働率、性能変化、消耗品の交換履歴など。
経済的情報
初期導入費用、運用コスト、予想寿命、減価償却費など。
これらの項目を適切に管理することで、設備の最適な運用と効率的なメンテナンスが可能になり、最終的には製造コストの削済や生産性の向上に寄与します。
Excelの設備管理台帳における課題
Excelの設備管理台帳には以下のような課題があります。
時間と労力がかかる
Excelの設備管理台帳は、メンテナンスや修理記録の更新などを手作業で行う必要があるため、更新作業に時間と労力がかかります。
入力ミスなどのヒューマンエラーが発生
Excelの設備管理台帳は、多岐にわたる管理項目を手作業で更新する必要があるため、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいです。
データの整合性を維持できない
Excelは誤入力や重複データの防止機能が限られており、データの整合性を維持するのが難しいです。
情報共有の問題
Excelはファイルベースでの管理のため、リアルタイムで最新の情報を共有することが困難です。
具体的なExcel設備管理台帳の課題
ここでは、計測機器のメンテナンスを題材にExcel設備管理台帳の課題について具体的に説明します。
1. メンテナンス対象の計測機器情報を手作業でExcel設備管理台帳に入力
メンテナンス対象の計測機器の情報を手作業でExcel設備管理台帳に入力します。
メンテナンス対象が多い場合はさらに時間と労力がかかります。
なお、Excel設備管理台帳は印刷や配布する必要があります。
2. 計測機器のメンテナンスを実施
計測機器のメンテナンス作業を実施します。
メンテナンス結果は担当者が手作業で設備管理台帳に記録します。
記録する項目としては下記となります。
【例】「問題なし」「修理中」「修理済み」などの点検結果、実施日、担当者情報など
3. 修理対応を実施
修理が必要な場合は、修理内容を手入力で設備管理台帳に記録のうえ修理に出します。
また、修理済みの場合は、担当者が設備管理台帳に手作業で修理履歴を記録します。
4. メンテナンス結果をExcel上で集計
担当者がメンテナンス結果をExcel上で集計します。
そして、集計結果をもとに担当者が報告書を作成し、関係者へ報告します。
このように、Excelの設備管理台帳を用いてメンテナンスを行う場合、手作業による台帳準備や記録、集計を行う必要があるため、時間と労力がかかります。
備品管理クラウドサービスを活用したシステム化による効率化
備品管理クラウドサービスを活用したシステム化により、設備管理業務を効率化することができます。
設備管理業務のシステム化は次のようなメリットをもたらします。
設備管理業務のシステム化がもたらすメリット
時間と労力の削減
備品管理クラウドサービスには、機器に貼り付けた備品管理ラベルに印字されているQRコードやバーコードやQRコードを専用スマホアプリで読み取るだけで、スマホアプリからメンテナンス作業実績の更新や確認を行うことが可能です。
これにより、設備管理台帳の更新にかかる時間と労力を削減することができます。
入力ミスなどのヒューマンエラーを防止
備品管理クラウドサービスには、機器の製品ラベルを専用スマホアプリで読み取ると機器情報が自動登録される機能など、機器情報の登録や更新を自動化する機能が提供されています。
これにより、手作業による登録や更新が不要となり、入力ミスなどのヒューマンエラーを防止することができます。
データの整合性を維持
備品管理クラウドサービスには、機器情報の登録や更新を自動化する機能が提供されていますので、入力ミスなどのヒューマンエラーが防止されます。
これにより、設備管理データの整合性を維持することができます。
リアルタイムでの情報更新および共有
備品管理クラウドサービスでは、情報がリアルタイムで更新されますので、常に最新の情報を共有することが可能です。
過去のメンテナンス履歴を簡単に確認できる
備品管理クラウドサービスでは、過去のメンテナンス履歴を機器に関連付けて登録することができますので、過去のメンテナンス履歴を簡単に確認することができます。
メンテナンス日の通知で点検漏れを防止
備品管理クラウドサービスでは、定期メンテナンスにおける次回のメンテナンス日をアラート通知する機能があります。
これにより、機器の点検漏れを防止することができます。
まとめ
製造業においては、システム化による設備管理業務の効率化がコスト削減と生産性向上の両方につながります。
この記事が製造業に携わる方の設備管理に関する悩みの解消につながれば幸いです。